049.エゴン・シーレ ≪洗濯物のある家≫ 1917年 個人蔵
奥行きがない。
遠近法を使わず、
真横から見ている絵となっている。
子どもが描いた絵のようだが、
敢えてそうしているのだろう。
おんぼろの家の前に
たくさんの洗濯物が干されている。
空と家の壁の灰色さも加わって、
貧しい生活を送っているいくつかの家族が
寄り集まっているように見える。
家の中にこもらず、
外に出て洗濯物を干す元気があることから、
貧困から脱しようとあがいているが、
中々うまくいっていないのかな。
こんなイメージが膨らむ。
改めて本作を見てみると、
奥行きのなさは
生活の厚みやゆとりのなさを暗示していそう。
ギリギリの生活の中で
必死に生きていることが伝わってくる作品だ。