絵画感想文 〜臨床心理士がアート作品と対話しながら鑑賞し、作品の意味について考え、感受性を磨く訓練をしてみました〜

知識はなく、解説はできません。思い浮かんだことを、自由に書いていこうと思います。作品との対話による美術鑑賞や、ハウゼンとヤノワインのVisual Thinking Strategy(VTS)をやってみた、という感じです。

048.ジャン=フランソワ・ミレー ≪晩鐘≫ 1858~59年 オルセー美術館、フランス

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晩鐘

“今日も一日、無事に作業ができました。

 神様、ありがとうございました”

と祈りを捧げていそう。

 

この時間に仕事を終えて帰途につけるという

日々をきちんと過ごしていることへの

尊さが描かれている。

地に足がついた生活を送っていることへの

貴重さが表現されている。

 

女性が置いたと思われる

手押し車は丁寧に置かれたことがうかがえる一方で、

男性が置いたと思われる

くわは土に刺さっているのは、ご愛嬌か。

 

くわが横に置かれていたら、丁寧すぎるであろうし、

くわが刺さっていることで、

男性のぼくとつさが表現されているようにも思われる。

 

奥の草は刈り取られ、きちんとまとめられていることや、

雲が多い日の夕焼けのため対象がはっきりしないことは

神秘的な雰囲気を増加させる。

 

様々な工夫により、詩情さが増幅されている作品だ。