絵画感想文 〜臨床心理士がアート作品と対話しながら鑑賞し、作品の意味について考え、感受性を磨く訓練をしてみました〜

知識はなく、解説はできません。思い浮かんだことを、自由に書いていこうと思います。作品との対話による美術鑑賞や、ハウゼンとヤノワインのVisual Thinking Strategy(VTS)をやってみた、という感じです。

050.ピエト・モンドリアン ≪赤、青、黄のコンポジション≫ 1930年 チューリッヒ美術館、スイス

 

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赤、青、黄のコンポジション

これが絵なの?

と子どもの頃にとても不思議に感じたことを思い出す。

 

これを絵として発表した

モンドリアンの度胸に圧倒される。

これが絵なの?と何度も何度も質問されたことであろう。

これを評価した人にも感嘆を覚える。

 

確かにインパクトはある。

誰も真似できないであろう。

インパクトの強さゆえに多くの人に記憶されるため、

真似をしたら、すぐに糾弾されてしまうであろう。

唯一無二の存在物を提供したとも言える。

 

ただ、絵のメッセージは分からない。

タイトルを見てみる。

 

コンポジションとは構成という意味だ。

それが分かると、一気に想像が膨らむ。

 

赤は情熱を表しているのではないか。

情熱は、前向きに生きていく上でのエネルギー源あり、

たくさん必要だ。

本作の中でも赤が多くの部分を占めることにも合点がいく。

 

青は冷静さを表しているのではないか。

これも必要だが、あまりに大きいと醒めた感じになり、

情熱の赤より小さい方が適切であろう。

青は赤の対極に配置されているのも示唆的である。

 

しかも、青は赤より下にある。

より表層的な行動は情熱的に、

より深層的な思考は冷静に

ということか。

 

黄は光、可能性を表していそう。

上記のように、情熱的かつ冷静に対処することで

ようやく可能性が端に顔を出す

ということだろう。

 

情熱・冷静・可能性の絶妙なバランスに

多くの人が感覚的に惹き付けられるからこそ、

本作は今後も多くの人を魅了し続けていくのであろう。