絵画感想文 〜臨床心理士がアート作品と対話しながら鑑賞し、作品の意味について考え、感受性を磨く訓練をしてみました〜

知識はなく、解説はできません。思い浮かんだことを、自由に書いていこうと思います。作品との対話による美術鑑賞や、ハウゼンとヤノワインのVisual Thinking Strategy(VTS)をやってみた、という感じです。

060.髙山辰雄 ≪食べる≫ 1973年 大分県立芸術会館

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食べる

 

炎に包まれる中で、彼は食べているのだろうか。

いや、彼は暑がっておらず、

赤は彼の怒気のように思われる。

 

彼はものすごく怒っている。

そのため、怒りのパワーが外にあふれ出ている。

その怒りを行動に移さないでなんとか押しとどめ、

行動に移す最良の機会を虎視眈々とうかがっている

ように見える。

 

彼は黒く、怒りにとらわれている一方で冷静な部分もありそうで、

私は上記のように考えた。

 

最良の機会が訪れたら、どうなるのだろう。

このままだったら、怒りの対象に怒りをぶちまけてしまうだろう。

 

彼の怒気を冷ます水が必要だが、

テーブルの上に置かれた水は、あまりに少ない。

 

彼の怒りを理解している他者の存在が

彼の怒りを一番効果的に冷ましてくれるだろうが、

残念ながらそのような他者の存在を示唆するものは

全く見当たらない。

 

一触即発。正にそんな絵に思われた。