060.髙山辰雄 ≪食べる≫ 1973年 大分県立芸術会館
炎に包まれる中で、彼は食べているのだろうか。
いや、彼は暑がっておらず、
赤は彼の怒気のように思われる。
彼はものすごく怒っている。
そのため、怒りのパワーが外にあふれ出ている。
その怒りを行動に移さないでなんとか押しとどめ、
行動に移す最良の機会を虎視眈々とうかがっている
ように見える。
彼は黒く、怒りにとらわれている一方で冷静な部分もありそうで、
私は上記のように考えた。
最良の機会が訪れたら、どうなるのだろう。
このままだったら、怒りの対象に怒りをぶちまけてしまうだろう。
彼の怒気を冷ます水が必要だが、
テーブルの上に置かれた水は、あまりに少ない。
彼の怒りを理解している他者の存在が
彼の怒りを一番効果的に冷ましてくれるだろうが、
残念ながらそのような他者の存在を示唆するものは
全く見当たらない。
一触即発。正にそんな絵に思われた。