絵画感想文 〜臨床心理士がアート作品と対話しながら鑑賞し、作品の意味について考え、感受性を磨く訓練をしてみました〜

知識はなく、解説はできません。思い浮かんだことを、自由に書いていこうと思います。作品との対話による美術鑑賞や、ハウゼンとヤノワインのVisual Thinking Strategy(VTS)をやってみた、という感じです。

2019-06-01から1ヶ月間の記事一覧

057.ジャン・デュビュッフェ ≪騒がしい風景≫ 1973年 ポンピドゥーセンター、フランス

騒がしい風景 タイトルを見ると“騒がしい風景”とある。 確かに初見では、乱雑さを感じる。 しかし、うるさくて迷惑な感じはしない。 楽しくわいわいやっている感じを受ける。 なぜかを考えてみる。 1番は、全てが黒枠で囲われているからだろう。 それにより…

056.熊谷守一 ≪あかんぼを≫ 1965年 個人蔵

あかんぼを 母が赤ちゃんを抱えている。 両手で抱えていること、 温かみを感じることから、 母は優しく抱いていることがうかがえる。 赤ちゃんの方も、 手や足が丸まっていることから、 母の腕の中で安らかにくるまっていることが うかがえる。 母の表情も赤…

055.フランシス・ベーコン ≪人体の習作≫ 1949年 ビクトリア州立美術館、オーストラリア

人体の習作 タイトルには“人体の習作”とある。 しかし、男性らしき人は後ろを向いている。 後ろ姿の習作なら分かるが、 なぜこれが人体の習作なのだろうか。 後ろ姿こそが、その人の人となりを表す。 背中で語る、ということなのだろうか。 人は裸で、どこか…

054.ルシアン・フロイド ≪バラを持つ女≫ 1947~48年 ブリティッシュ・カウンシル・コレクション、ロンドン

バラを持つ女 精神分析の祖、ジクムンド・フロイドの孫の作品を 取り上げます。 目をギョロつかせた女性が 手にバラを持っている。 バラといえば、 遠くから見る分には綺麗だが、 近すぎるとトゲがあるのでケガをする、 距離を縮め過ぎると危険な魔性の女性 …

053.アントニ・クラーヴェ ≪スイカを持つ子ども≫ 1947~48年 テート・コレクション、ロンドン

スイカを持つ子ども 着飾った顔面蒼白な子どもが スイカを持っている。 CMを撮る前の 子役スイッチを入れる前の 緊張した子どものように見える。 監督が「スタート」と言った瞬間 彼の表情はぱっと明るくなり、 スイカにかぶりつく。 その数秒前のシーンに見…