絵画感想文 〜臨床心理士がアート作品と対話しながら鑑賞し、作品の意味について考え、感受性を磨く訓練をしてみました〜

知識はなく、解説はできません。思い浮かんだことを、自由に書いていこうと思います。作品との対話による美術鑑賞や、ハウゼンとヤノワインのVisual Thinking Strategy(VTS)をやってみた、という感じです。

2019-05-01から1ヶ月間の記事一覧

052.マックス・エルンスト ≪セレベスの象≫ 1921年 テート・コレクション、ロンドン

セレベスの象 タイトルには“象”とあるが、 中央に描かれているのは、 何かの大きな装置のようである。 確かにその装置は象のようであり、 装置から出ている管は 象の鼻にも尻尾にも見える。 私には尻尾に見え、 象の後ろ姿が大きく描かれているように感じる…

051.エドガー・ドガ ≪舞台の踊り子≫ 1876~77年 オルセー美術館、フランス

舞台の踊り子 右に、踊っているバレリーナが描かれている。 腕の微妙な形や衣装から、優美さが伝わってくる。 しかし、私は舞台のそでが気になる。 黒い服を着た人は舞台監督だろうか、 踊っているバレリーナのコーチだろうか。 そでには、他のバレリーナが…

050.ピエト・モンドリアン ≪赤、青、黄のコンポジション≫ 1930年 チューリッヒ美術館、スイス

赤、青、黄のコンポジション これが絵なの? と子どもの頃にとても不思議に感じたことを思い出す。 これを絵として発表した モンドリアンの度胸に圧倒される。 これが絵なの?と何度も何度も質問されたことであろう。 これを評価した人にも感嘆を覚える。 確…

049.エゴン・シーレ ≪洗濯物のある家≫ 1917年 個人蔵

洗濯物のある家 奥行きがない。 遠近法を使わず、 真横から見ている絵となっている。 子どもが描いた絵のようだが、 敢えてそうしているのだろう。 おんぼろの家の前に たくさんの洗濯物が干されている。 空と家の壁の灰色さも加わって、 貧しい生活を送って…

048.ジャン=フランソワ・ミレー ≪晩鐘≫ 1858~59年 オルセー美術館、フランス

晩鐘 “今日も一日、無事に作業ができました。 神様、ありがとうございました” と祈りを捧げていそう。 この時間に仕事を終えて帰途につけるという 日々をきちんと過ごしていることへの 尊さが描かれている。 地に足がついた生活を送っていることへの 貴重さ…

047.ジャン=バティスト=カミーユ・コロー ≪ヴィル・ダヴレー≫ 1835~40年 石橋財団ブリヂストン美術館、東京

ヴィル・ダヴレー 単なる森の小道を、 ここまで芸術作品として仕上げることができるのか というのが、最初の感想だ。 下手な人が描いたら、 何の変哲のない作品になってしまうだろう。 木々のおい茂り具合、 朝焼けか夕焼けのふんわりした光の加減と空気感、…

046.フィンセント・ファン・ゴッホ ≪夜のカフェ・テラス≫ 1888年 クレラー=ミューラー美術館、オランダ

夜のカフェ・テラス 第一印象では、 ゴッホはこんな温かみのある作品を描けるんだな、 と思った。 ゴッホといえば、 もっとおどろおどろしい 対象物に迫り過ぎた 作品を見ていると息苦しさを感じることがあるものを 描く人と思っていたので、 とても意外に感…