絵画感想文 〜臨床心理士がアート作品と対話しながら鑑賞し、作品の意味について考え、感受性を磨く訓練をしてみました〜

知識はなく、解説はできません。思い浮かんだことを、自由に書いていこうと思います。作品との対話による美術鑑賞や、ハウゼンとヤノワインのVisual Thinking Strategy(VTS)をやってみた、という感じです。

046.フィンセント・ファン・ゴッホ ≪夜のカフェ・テラス≫ 1888年 クレラー=ミューラー美術館、オランダ

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夜のカフェ・テラス

第一印象では、

ゴッホはこんな温かみのある作品を描けるんだな、

と思った。

 

ゴッホといえば、

もっとおどろおどろしい

対象物に迫り過ぎた

作品を見ていると息苦しさを感じることがあるものを

描く人と思っていたので、

とても意外に感じた。

 

温かさはどこから感じるのか。

こうこうと輝くランプに照らされた

カフェ内の明るさはもちろんだが、

石畳や夜空の明るさが

全体的な雰囲気をまろやかにしているのだろう。

 

描かれる人々は

一日の仕事を終え、カフェで一息ついている人々や

道端で談笑しているような人々で

せわしなく活動している人はいない。

 

手前に、つまり本作を見ている人の近くに

人が描かれていないのも、

人との距離が取れて、落ち着く。

人が近くに描かれていたら、

とりあえずどんな人だろうと考え、

緊張が生じただろう。

 

様々な工夫がなされたおかげで、

本作は見ている人をほっとさせる作品に仕上がっている。