絵画感想文 〜臨床心理士がアート作品と対話しながら鑑賞し、作品の意味について考え、感受性を磨く訓練をしてみました〜

知識はなく、解説はできません。思い浮かんだことを、自由に書いていこうと思います。作品との対話による美術鑑賞や、ハウゼンとヤノワインのVisual Thinking Strategy(VTS)をやってみた、という感じです。

045.J.M.W.ターナー ≪国会議事堂の火事 1834年10月16日≫ 1835年 フィラデルフィア美術館、アメリカ

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国会議事堂の火事 1834年10月16日

対岸の火事が幻想的に描かれている。

 

おどろおどろしい雰囲気は感じない。

燃えている物や炎といった火事に関するものが

直接的には描かれておらず、

距離をとってぼんやり描かれているからだろう。

 

本作品の観客は対岸から火事を眺めており、

正に“対岸の火事”で、身の危険を感じないことから

安心して本作品を眺められる。

 

川面に火が映っていることや、煙の流れから

不純物が燃えて浄化されていくような気持ちさえ

生じてくる。

 

このような安全な形で心のわだかまりを処理したい

と願うことは少なくない。

しかし、現実には中々難しい。

 

だからこそ、本作品は人々を魅了し続けるのだろう。