絵画感想文 〜臨床心理士がアート作品と対話しながら鑑賞し、作品の意味について考え、感受性を磨く訓練をしてみました〜

知識はなく、解説はできません。思い浮かんだことを、自由に書いていこうと思います。作品との対話による美術鑑賞や、ハウゼンとヤノワインのVisual Thinking Strategy(VTS)をやってみた、という感じです。

038.ジョルジョ・モランディ ≪静物≫ 1916年 MoMA(ニューヨーク近代美術館)

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静物

テーブルの上に細長い水差しやビンが描かれている。

どれも細長くて貧弱に見える。

 

そう見ると、テーブルの脚も貧弱で、

貧弱な土台の上に貧弱なものがのっている構図

であることが分かる。

 

いつ崩れてもおかしくない、危うさを感じる。

 

色に目を向けてみると、

灰色あるいは薄茶色を主体とした本作の色使いは

いろどりといった面でも貧相であることが分かる。

 

そんな渇きを潤したいのか、

水差しやビンといった、中に水を入れるものが描かれているのは

示唆的だ。

当然、中に水は入っていなそうである。

 

自分の日常生活もこんな感じではないだろうか?

土台も、いろどりも貧相ではないか?

自分の生活の振り返りをさせてくれる作品だ。