絵画感想文 〜臨床心理士がアート作品と対話しながら鑑賞し、作品の意味について考え、感受性を磨く訓練をしてみました〜

知識はなく、解説はできません。思い浮かんだことを、自由に書いていこうと思います。作品との対話による美術鑑賞や、ハウゼンとヤノワインのVisual Thinking Strategy(VTS)をやってみた、という感じです。

023.アンリ・ルソー ≪眠れるジプシー≫ 1897年 MoMA(ニューヨーク近代美術館)

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眠れるジプシー

月夜の砂漠に1人の女性が眠っている。

どこに寝ても良い気ままさや、しがらみのない自由さを感じる。

一方で、淋しさも感じ取れる。

 

脇には楽器が置かれている。

行く先々で弾き語りをして生計を立てているのだろうか。

 

反対側には動物がいる。

毛並みが整っており、気高そう。

じっと、本作品の観客の方を見ている。

 

しがらみが多い生活を送っていると、

しがらみのない生活を羨ましく思う。

 

そんな甘いもんじゃないよ。

しがらみに守られている部分もあるんだよ。

こんな風に動物の目は語っていそう。

 

空は青空で、月と星が彼女と動物を照らしている。

作者が温かく彼女と動物を見守っている感じが伝わってくる。

 

ひょっとしたら、女性は作者自身であり、

作者が内々に秘めていた、しがらみのない気ままさと厳しさを絵で表現した。

こんな気もしてきた。

 

自由の二面性について感じさせる作品だった。