絵画感想文 〜臨床心理士がアート作品と対話しながら鑑賞し、作品の意味について考え、感受性を磨く訓練をしてみました〜

知識はなく、解説はできません。思い浮かんだことを、自由に書いていこうと思います。作品との対話による美術鑑賞や、ハウゼンとヤノワインのVisual Thinking Strategy(VTS)をやってみた、という感じです。

021.エドゥアール・マネ ≪フォリー=ベルジェールのバー≫ 1881年~82年 コートールド美術館

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フォリー=ベルジェールのバー


2019年9月10日(火)~12月15日(日)まで東京都美術館

2020年1月3日(金)~3月15日(日)まで愛知県美術館

2020年3月28日(土)~6月21日(日)まで神戸市立美術館で

開催される“コートールド美術館展”で

見ることができる作品を取り上げます。

 

バーを切り盛りしていると思われる女性が

中央に描かれている。

後ろには、酒を飲みながら歓談している客たちが

描かれているが、はっきりは描かれていない。

 

後ろ姿の店員より接客を受けている紳士から

ぼんやり描かれていることに気づく。

手間の酒や果物がはっきり描かれているのとは対照的だ。

 

今は華やかで活気があり盛況だが、

一寸先は分からない不透明さを感じる。

 

しかし、暗さは感じない。

先のことは分からないからパーっとやろう

と盛り上がっている感じを受ける。

 

そう見ると、

中央の女性はそんな盛り上がりから距離を置いているように見える。

憂いを帯びているように感じる。

 

彼女は、事業で失敗して足が遠のく客もいるんだろうな

などと考えていそう。

光あふれるバーの中で、陰の部分を見ているように感じる。

 

彼女の存在が、バーの中の浮ついた空気を引き締めているように

感じられた。