絵画感想文 〜臨床心理士がアート作品と対話しながら鑑賞し、作品の意味について考え、感受性を磨く訓練をしてみました〜

知識はなく、解説はできません。思い浮かんだことを、自由に書いていこうと思います。作品との対話による美術鑑賞や、ハウゼンとヤノワインのVisual Thinking Strategy(VTS)をやってみた、という感じです。

002.ポール・セザンヌ ≪ポントワーズの橋と堰≫ 1881年

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ポントワーズの橋と堰

葉の茂った木々、小高い丘、ぽかぽか陽気そうな日の光、

奥にまばらにある家が、のどかさ、ほんわかさを感じさせる。

 

輪郭のはっきりしない、ぼんやりした描き方が、

のどかさやほんやわさを増幅させる。

見ていて心が落ち着く感じがする。

 

のんびり小舟を漕いでいる人がいたら、

表現がダイレクト過ぎて、あざとく感じたかもしれない。

動物がいたら、のんびり過ぎて、

牧歌的な雰囲気が出過ぎたかもしれない。

ちょうどよい、のどかさやほんわかさで

バランスの良さも感じた。

 

さてここで、ちょっと引いてみる。

この絵がどんな人の視点で描かれたものか

想像してみる。

 

天気の良い昼間、大人は畑仕事に出かけ、

子どもは学校か畑仕事の手伝いをしている。

ぼんやりしているのは、この人のみ。

 

この人は都会の仕事に疲れて、

故郷に帰ってきたのかな。

 

現実を直視できないほど疲れが癒されていないから

輪郭がぼんやりしているのかな。

 

こんな風に考えてみると、

充電期間を描いた作品のように思えてきました。