絵画感想文 〜臨床心理士がアート作品と対話しながら鑑賞し、作品の意味について考え、感受性を磨く訓練をしてみました〜

知識はなく、解説はできません。思い浮かんだことを、自由に書いていこうと思います。作品との対話による美術鑑賞や、ハウゼンとヤノワインのVisual Thinking Strategy(VTS)をやってみた、という感じです。

014.グスタフ・クリムト ≪ユディトⅠ≫ 1901年 ウィーン、ベルヴェデーレ宮オーストリア絵画館 

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ユディトⅠ


2019年4月23日(火)~7月10日(水)まで

東京都美術館で開催されるクリムト展で

見ることができる作品を取り上げます。

 

白人の女性が金に囲まれて

うっとりとした表情をしている。

一方で、右下の男性はうつむいている。

 

男性を従え、金に囲まれ、

お金も権力も手に入れたイメージが浮かんでくる。

 

背景には金色の木が描かれている。

木からは、すくすく伸びて成長していくイメージが

思い浮かぶ。

お金や権力をどんどんたくわえていくイメージだろう。

 

しかし、成金のいやらしさは感じない。

体は裸で、コテコテに着飾ってはいないからだろう。

 

なぜ女性は裸なのだろうか?

裸一貫という言葉が思い浮かぶ。

すっからかんと紙一重、ということだろうか。

 

そう見ると、

お金に囲まれてうっとりしている女性と

うなだれている男性も

今はたまたまそうだが、

一寸先では立場が逆転しているかもしれない

という気がしてくる。

 

はかなさ、表裏一体さが表現されている作品に思えた。

 

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