絵画感想文 〜臨床心理士がアート作品と対話しながら鑑賞し、作品の意味について考え、感受性を磨く訓練をしてみました〜

知識はなく、解説はできません。思い浮かんだことを、自由に書いていこうと思います。作品との対話による美術鑑賞や、ハウゼンとヤノワインのVisual Thinking Strategy(VTS)をやってみた、という感じです。

053.アントニ・クラーヴェ ≪スイカを持つ子ども≫ 1947~48年 テート・コレクション、ロンドン

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イカを持つ子ども

着飾った顔面蒼白な子どもが

イカを持っている。

 

CMを撮る前の

子役スイッチを入れる前の

緊張した子どものように見える。

 

監督が「スタート」と言った瞬間

彼の表情はぱっと明るくなり、

イカにかぶりつく。

その数秒前のシーンに見える。

 

描かれた年を考えれば、

広告用の写真を撮る前

といった所か。

 

彼はスイカを持って本作の観客を見ている。

イカのことは見ていない。

イカに対するウキウキした感じや嬉しさが

全く伝わってこないので、

私は上記のように考えた。

 

イカの赤と彼の顔の青さの対称性が

想像力を膨らませる作品だ。