004.エドヴァルド・ムンク ≪叫び≫ 1910年
ムンク展が東京都美術館で2019年1月20日まで開催されているので、
≪叫び≫を取り上げることにします。
叫んでいる姿ではなく、
叫び声をきいて、耳をふさいでいる姿が中央に描かれている。
彼は何に対して恐怖を感じているのだろうか。
描かれていない彼の手前の人が断末魔の叫び声をあげているのだろうか?
誰かが「ぶっ殺してやる」といった暴力的な言葉を発しているのだろうか?
奥の2人の人は恐れおののいては、いなそう。
ということは、中央の彼にだけきこえているのだろう。
幻聴がきこえているのだろうか。
人は精神的に疲れていると、精神的な病気を患わっているか否かに関わらず
幻聴がきこえることがあるという。
そう考えると、タイトルの意味も分かってくる気がする。
確かに誰かがいる。けれども、姿は見えない。
だからこそ、叫んでいる主体を描くことができないのだろう。
何かよく分からないものから不安をかき立てられることは多々ある。
自然災害が起こるのではないか。
AIに仕事を奪われないだろうか。
北朝鮮がミサイルを撃ってこないだろうか。
トランプが世界秩序を更に悪化させるのではないか。
挙げれば、きりがない。
幻聴ではなくても、
何かよく分からないものに不安をかき立てられる経験は多くの人がしているだろう。
だからこそ、本作品が多くの人を惹き付け続けているように感じられた。