絵画感想文 〜臨床心理士がアート作品と対話しながら鑑賞し、作品の意味について考え、感受性を磨く訓練をしてみました〜

知識はなく、解説はできません。思い浮かんだことを、自由に書いていこうと思います。作品との対話による美術鑑賞や、ハウゼンとヤノワインのVisual Thinking Strategy(VTS)をやってみた、という感じです。

026.福田平八郎 ≪雨≫ 1953年 MOMAT(東京国立近代美術館)

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瓦に雨粒が少しついている。

雨が降り始めたところだろう。

ぽつぽつと音が感じられる絵だ。

 

瓦はきれいに見える。

それなりの家の瓦なのだろう。

 

洗濯物を慌てて部屋の中に取り込んでいるところ

かもしれない。

雨が降り始める前に買い物に行っておけば良かった

と後悔しているかもしれない。

瓦の下では、小さな変化が生じているだろう。

 

破れた葉っぱや虫といった、瓦以外のものは

一切描かれていない。

波乱を感じさせない。

安定感を抱かせる。

 

小さな変化は生じるだろうが、またすぐに元に戻るだろう

という安心感を抱かせる絵だ。