026.福田平八郎 ≪雨≫ 1953年 MOMAT(東京国立近代美術館)
瓦に雨粒が少しついている。
雨が降り始めたところだろう。
ぽつぽつと音が感じられる絵だ。
瓦はきれいに見える。
それなりの家の瓦なのだろう。
洗濯物を慌てて部屋の中に取り込んでいるところ
かもしれない。
雨が降り始める前に買い物に行っておけば良かった
と後悔しているかもしれない。
瓦の下では、小さな変化が生じているだろう。
破れた葉っぱや虫といった、瓦以外のものは
一切描かれていない。
波乱を感じさせない。
安定感を抱かせる。
小さな変化は生じるだろうが、またすぐに元に戻るだろう
という安心感を抱かせる絵だ。