絵画感想文 〜臨床心理士がアート作品と対話しながら鑑賞し、作品の意味について考え、感受性を磨く訓練をしてみました〜

知識はなく、解説はできません。思い浮かんだことを、自由に書いていこうと思います。作品との対話による美術鑑賞や、ハウゼンとヤノワインのVisual Thinking Strategy(VTS)をやってみた、という感じです。

033.エゴン・シーレ ≪抱擁(恋人たち)≫ 1917年 オーストリア美術館

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抱擁(恋人たち)

お互いに髪を逆立てながら、

男性と女性ががっしりと抱き合っている。

 

布団のぐちゃぐちゃ具合、

布団の外側が火にも光にも見えることから、

激しい戦いのような抱擁に見えるが、

男性と女性のポーズは意外と普通。

 

内なる戦いが展開されている

ということだろうか。

 

波瀾万丈を乗り越え、

ようやく2人は抱き合えた

ということだろうか。

 

しばらく眺めていると、

神々しいオーラのように見えてきて、

戦いの神と勝利の女神が抱き合っているようにすら

見えてくる。

 

抱擁という言葉が発する安らかなイメージとは異なり、

激しさを感じさせる絵だ。