絵画感想文 〜臨床心理士がアート作品と対話しながら鑑賞し、作品の意味について考え、感受性を磨く訓練をしてみました〜

知識はなく、解説はできません。思い浮かんだことを、自由に書いていこうと思います。作品との対話による美術鑑賞や、ハウゼンとヤノワインのVisual Thinking Strategy(VTS)をやってみた、という感じです。

009.ウジェーヌ・ドラクロア ≪墓に運ばれるキリスト≫ 1859年 国立西洋美術館

f:id:hi02:20190126013648p:plain

墓に運ばれるキリスト

 

なぜこの場面が切り取られたのだろうか?

 

キリストの頭部を抱えている赤い服を着た男は

急いで地下の墓にキリストを運ぼうとしているよう。

 

男の表情は切迫しているように見える。

 

男は“地上はけがれている。一刻も早く地下に連れていかねば”

と思っているのか。

キリストを生き返らせることができる魔術師が地下にいるのか。

墓前で待っている信者たちに早く合わせたいと思っているのか。

 

いずれにしても、死してなお

真剣にキリストと関わろうとしている人の存在をうかがわせる。

キリストの偉大さは、こんな角度からも知ることができるのか

と思わせる作品だった。