009.ウジェーヌ・ドラクロア ≪墓に運ばれるキリスト≫ 1859年 国立西洋美術館
なぜこの場面が切り取られたのだろうか?
キリストの頭部を抱えている赤い服を着た男は
急いで地下の墓にキリストを運ぼうとしているよう。
男の表情は切迫しているように見える。
男は“地上はけがれている。一刻も早く地下に連れていかねば”
と思っているのか。
キリストを生き返らせることができる魔術師が地下にいるのか。
墓前で待っている信者たちに早く合わせたいと思っているのか。
いずれにしても、死してなお
真剣にキリストと関わろうとしている人の存在をうかがわせる。
キリストの偉大さは、こんな角度からも知ることができるのか
と思わせる作品だった。