絵画感想文 〜臨床心理士がアート作品と対話しながら鑑賞し、作品の意味について考え、感受性を磨く訓練をしてみました〜

知識はなく、解説はできません。思い浮かんだことを、自由に書いていこうと思います。作品との対話による美術鑑賞や、ハウゼンとヤノワインのVisual Thinking Strategy(VTS)をやってみた、という感じです。

028.ジョアン・ミロ ≪絵画≫ 1953年 国立西洋美術館

f:id:hi02:20190318234104g:plain

絵画

タイトルを見ると、≪絵画≫とある。

 

そうすると、

上部中央の黒は画家の目、

右の赤は描きたい気持ち、

左の青は冷静な気持ちを表わしている気がしてくる。

 

目で見て描きたい気持ちが膨らんだ一方、

気持ちのまま作品にぶつけるのではなく冷静になれ

といった画家の葛藤が表現されている気がしてくる。

 

下部に目をやると、

画家、画家の長い手、作品が描かれている気がしてくる。

 

手が長く、巨大な作品を描きたい気持ちはあるものの

実際に描けるものは※印のようなわずかなものぐらい、

ということを表現している気がしてくる。

 

改めて全体を見ると、

上部右の赤の周りの黒に目がいく。

 

こんな絵を描いてよいのだろうか、

誰も見向きもしないのではないか、

といった画家の描きたい気持ちを削いでいく不安に見えてくる。

 

画家が日々感じていることを

ありのままに描いた作品に見えた。